研究室NEWS

川とともに暮らす—亀岡2070

山口です。流域空間デザイン研究会の活動の一環としての「川とともに暮らす 亀岡2070 ワークショップ」の成果報告会を、「かめおか霧の芸術祭」と連携して、2月23日(火・祝)に開催しました。第2部では市長をゲストにお招きし、亀岡のこれからの未来について議論を深めるオンラインシンポジウムを行いました。当日Youtubeで配信されましたが、現在もアーカイブとして動画を視聴いただけます。是非ご覧ください。

ワークショップの経過や発表内容(スライド)はHPでもご確認いただけます。
https://kameoka2070.com/

 本企画の主催者である流域空間デザイン研究会は「複合的土地利用の概念とジオデザインを用いた流域空間計画手法の開発」(科研費,代表:武田史朗教授)を研究課題として、総合治水と都市デザインとを融合した「流域空間計画」のプロセスモデルの開発を進めています。研究プロジェクト初年度となる2020年度は、亀岡をフィールドに市民参加型でのワークショップを開催いたしました。

 本ワークショップは、気候変動・人口減少という大きな変化を経て、なお魅力的であり続ける未来の亀岡の姿を描くために行いました。国内外において、地球規模の気候変動を見据え、流域全体で水を受け止める新しい治水方式への転換が進められつつあります。水を積極的に受け止めながら、まちを安全かつ魅力的にするまちづくりや都市開発が海外では活発化しています。

 これからますます激化する豪雨の予測のなか、亀岡が長期的に持続可能で、魅力的であり続けるためにどのような可能性があるのか。 本ワークショップでは、亀岡市役所の若手職員がファシリテータをつとめ、市民や市内外の学生から参加者を募り、アイデアを出し合いました。 ワークショップの経緯などについて詳細は、下記のH Pでご覧いただくこともできます。 https://kameoka2070.com/

動画のコンテンツ
○WS趣旨 イントロ・ムービー(制作 OPUS DESIGN)
○第一部 各班成果発表(司会: 大野智彦・金沢大)
 ズートピアへの道(1班 谷口さん)
 現代版「村」を目指したまちづくり(2班 栗林さん)
 ハーモニー亀岡〜川とつながり川でつなぐ〜(3班 湯浅さん、八木さん)
 未来のトトロ(4班 深川さん)
 地域文化と遊びごころを育む水辺のデザイン(5班 赤池さん、並河さん)
○第二部 総合ディスカッション
 登壇者:
  桂川孝裕氏(亀岡市長)
  仲山徳音氏(Fogin,前亀岡副市長)
  並河杏奈氏(Fogin)
 コーディネート:
  武田史朗(立命館大)
  山口敬太(京都大)

主催:流域空間デザイン研究会(立命館大学・京都大学・金沢大学共同研究PJ)
後援:亀岡市、かめおか霧の芸術祭実行委員会
協力:⼀般社団法⼈Fogin、立命館大学歴史都市防災研究所

7/28 都市計画学会関西支部 研究発表大会

こんにちは、M1の田中です。

7/28に都市計画学会関西支部の第16回発表大会が行われました。
4セッション合計23編の研究発表が行われ、本研究室からも吉武さん、平松くん、田中の3名が発表させていただきました。

研究題名
吉武駿  「道路施設に着目した大阪御堂筋の街路景観の変遷 」
平松宏基 「長浜市中心市街地における空地の位置づけと変遷に関する研究」
田中椋  「明治-昭和期の随筆にみる京都の風物に関する研究」

それぞれ質疑応答や懇親会で参加者の方々や座長の先生からコメントを頂き、改めて論文を見直す機会にもなりました。

また、各セッションから1名奨励賞受賞者が選ばれ、田中が受賞させて頂きました!

卒業論文として取り組み、先生方のご指導をいただきながら模索してきましたが、今回受賞させて頂き一安心しております。
奨励賞を頂きましたので、今後とも内容の充実を図り、精査していきたいと思っております。

先生方、研究にご協力いただいた皆さま、論文発表に際してご指導いただき、発表者一同御礼申し上げます。
今後ともよろしくおねがいします!

田中

6/8 土木学会賞授賞式

こんにちは。2014年度川崎研究室修了の八尾修司と申します。
現在、大日本コンサルタント(株)に就職して4年目で、都市計画やまちづくりにおけるソフト施策のほか、公園・広場等のハード設計に関わる部署で仕事をしております。

さて本題ですが、修士課程在籍時に第一著者として執筆しました、
「戦前期大阪における公園道路網計画と桃ヶ池・田邊公園道路の形成」
土木学会論文集D1(景観・デザイン)、Vol.71, No.1, pp.95-107, 2015.
により、『平成29年度土木学会論文奨励賞』を受賞致しました!

私が卒業研究に着手した時から取り組んだテーマであり、この期間も含めると、約6年の時を経て受賞に至ったことになります。

授賞理由は、下記のとおりです。
戦前期大阪における都市計画公園緑地計画は、公園緑地を系統的に配置し公園道路で連絡する欧米由来の計画思想を日本で最初期に導入し、かつ社寺の風致を組み入れ固有に発展させた先駆的な計画であった。本論文は、当時の行政文書や新聞記事及び設計図面等の新史料の発見と、その緻密な分析により、計画理念と整備過程、実現に関わる主体の役割をはじめて明らかにした。
本論文の成果は、現代の都市緑化や緑のネットワークの考え方の基盤的根拠を先駆けて解明した点、また、整備実現における周辺地主の自主的な働きかけの事実が認められた点において、今後の都市計画に対して大きな示唆を与えている。以上から、論文奨励賞に相応しいと認められた。
(平成29年度 名誉会員及び土木学会賞等 紹介冊子より抜粋)

学生時代、まさかこのような栄誉ある賞を頂くことになるとは思ってもみませんでした。ですが、査読論文として成果を取りまとめるまで、さまざまな苦労をしたことを顧みると、「論文奨励賞」という最高の形で結実したということに、喜びを噛みしめずにはいられません。

景観・デザインの分野としても、山口敬太准教授が授賞して以来の7年ぶりの授賞ということで、重くのしかかる責務もありますが、土木の景観・デザイン分野の発展に少しでも寄与出来るよう、今後も精進して参りたいと思います。

以下、2018年6月8日に行われた、土木学会定時総会での授賞式の様子を少し。

弦楽器演奏によるオープニングの後、鈴木史朗氏による毎年恒例のメイン司会のもと、授賞式が始まりました。個人的には、某TV番組でお見かけして以来、初めて生のご本人を拝見することができました。

大画面による大々的な紹介に圧倒されるばかりでしたが、論文賞、論文奨励賞の紹介のほか、長崎市・出島で進められた「出島表門橋架橋プロジェクト」や、宮城県・気仙沼市での「気仙沼大島大橋」を代表とした田中賞など、土木分野の発展に貢献したさまざまな研究、技術開発に関する取り組みを目の当たりにしました。

総会終了後、出席者による交流会が行われ、そこで偶然、早稲田大学・佐々木葉教授とご一緒することができました。この他、「もしかすると八尾さんの研究のヒントになるかもしれない」と言ってわざわざお話に来て下さった方もいらっしゃり、今後の展開の可能性を予感させるものもあって非常に有意義な時間を過ごすことができました。

さて。
最後になりましたが、学生時代から社会人になってからも、熱くご指導ご鞭撻頂きました川﨑雅史教授、山口敬太准教授、そして研究室ゼミ等でさまざまなご指摘を頂きました久保田善明・現富山大学教授には、この場を借りて厚く御礼申し上げます。先生方のご指導がなければ、このような栄誉ある授賞に至ることはありませんでした。

また、若造をあたたかく迎え入れ、貴重な資料を提供下さった繁村誠人氏(NPO国際造園研究センター理事)、伊藤廣之氏(大阪歴史博物館副館長)ほか、関係諸氏の皆様には感謝してもしきれません。皆様に提供頂いた資料や情報がきっかけで、研究が大きく前進いたしました。

今回の受賞を機に、実務・研究の両面で、土木工学や都市計画分野の発展に貢献できるよう、これからも頑張っていきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。


(八尾修司・川﨑研究室OB)