9月13日-10月1日, 2011 ヨーロッパ橋巡りの旅(ベルギー・オランダ編)

ヨーロッパ橋梁巡りの旅。

書き込みが遅れましたが、今回はベルギーから合流した村野が、旅行後半のベルギー・オランダでの体験について紹介します。

ベルギーでは、旅先で事務所訪問をすることになっていたLaurent Ney率いる「Ney & Partners」の作品を中心に橋巡りをしてきました。ここでは、その中でも特に印象に残ったものをいくつかご紹介します。

まずはベルギーの「Ney & Partners」が手がけた橋を3基。

 

 

Tervuren Footbridge
Tervuren Footbridge

ブリュッセル郊外の田舎町テルビューレンにある歩道橋。

人や自転車の往来が激しく、人々の生活にしっかりと定着している歩道橋です。一見ねじれが発生しそうな独特なフォルムも、色彩やデティールが非常にシンプルに設計されているので、落ち着いた印象を与えています。

      

Knokke-Heist Footbridge

こちらは海に面した田舎町、クノッケの歩道橋。

継ぎ目の無い、曲面の美しさを全面に押し出した、どこか有機的な印象を持つ橋です。 cute!

     

Colledge bridge

 

閑静な住宅街、コルトレイクにたたずむ歩道橋。

曲線吊橋の優雅な構造と外装のマットな色彩から、どこか大人びた印象をうけました。先のクノッケの歩道橋とは対称的に、周りの風景にしっくりと溶け込んでいます。訪れたタイミングもよく、夕陽に映える良い写真が撮れました。 
今回の旅では、他にも「Ney & Partners」の作品を多数見て回ったのですが、それぞれの作品作品が本当に個性豊かで、このバライティーに富んだ作風こそネイ氏の特徴であると感じました。
     
      
次にオランダの橋を2基。

Erasms Bridge

 言わずと知れたロッテルダムのシンボル、エラスムス橋。

建築系の設計事務所「UN studio」が手がけた作品です。初めて目にした感想は、「で、でかい!」 予想以上のスケールに驚きました。この橋は僕が構造系の研究に携わるきっかけになった、非常に思い入れのある橋だったので、実際に目の当たりにして感慨深かったです。

      

   アムステルダム最寄のスキポール空港近く、サンティアゴ・カラトラバが設計した三基の橋梁群。
旅の最後を締めくくるにふさわしい巨匠の作品!と意気込んで向かったのですが、メンバーそろってあまり惹かれるものがありませんでした。平原が続く田舎町の中では、一本調子のカラトラバの作品はどうにも周囲との調和が取れていない浮いた作品となっていました。
        
     
今回の旅ではヨーロッパの先進的な橋梁群を直に見て触って、本当に良い刺激となりました。
自分の中でものづくりに対する意欲が芽生える二週間でした。
旅行を企画、先導してくれたM2の駒井さん、平野さん、
2人にこき使われ、旅先で人間ナビゲーターとして奮闘してくれたM1の森田さん、ありがとうございました。

11月26日, 神戸市橋梁模型コンテスト2011 「最優秀賞」受賞報告

11/26土曜日、神戸市橋梁模型コンテスト2011が神戸の明石海峡大橋のふもとにある「橋の科学館」で開催されました。うちの研究室からはM2平野、駒井、M1森田、B4村野の4人がチーム「構造デザイン班」として参加し、見事「最優秀賞」を受賞することが出来ました!

橋梁模型の規定についてざっくり説明すると、総重量1.5kg以下の支間1200mで20kgの移動荷重が渡ることが出来れば、材料や構造形式は自由というものでした。

今回僕たちが作った橋は、非対称アーチと非対称張弦梁を組み合わせた形式で、互いの捻じれを相殺させるという、構造的な合理性を担保しながらも、非常にダイナミックな空間・見えを創出するという形をデザインしました。

実際に模型を作ると、力と形の関係がダイレクトに体験できるので、手を動かすたびに知らなかったことが発見できます。また、思うようにいかないことがたくさんあって、言うとやるでは大違いとはよく言ったものですが、まさにそんな感じです。各部材の接続部や、端部のディテール部分における力の流れ方はなかなかイメージしづらいものもあって、そういった部分は作って初めて体験することで物凄く勉強になります。さらに材料の性質・特性に合ったディテールを設計するのも一苦労です。実際に手を動かして、試行錯誤を繰り返す中で橋の作り方を勉強するというのは非常に知的好奇心を刺激されるもので、いい経験になりました。

僕自身は初出場で、構想から製作完了までの約2ヵ月間は研究の合間を縫いながら非常にしんどい日が続きましたが、自分たちのやりたいことをしっかり反映させた実物を作ることが出来たこと、そしてそれを大会で評価してもらえたことが非常に嬉しかったです。

そして何より、土木構造物にもデザインを付加するとこれだけ素敵な物にもなり得るんだということ、さらにそのデザインは構造と切り離す事なく成立させることが出来るんだという「構造デザイン」という考え方をこの大会と、この大会に集まった人たちに一石投じることができたことが非常に収穫だったと思います。僕はM2なので今年が最初で最後の参加になってしまいましたが、後輩達には是非とも出場を続けてもらい、今回の反省点を踏まえて(そりゃ反省点もあります。)今後とも自分たちの構造デザインの勉強としてだけでなく、外部にどんどん新しい発想•可能性を示していって欲しいです。・・・というプレッシャーを与えて終わりたいと思います(^-^)/

チームのみんなお疲れさまでした!

(平野)

 

12月1日(木), 2011 ローラン・ネイ氏講演会のお知らせ

講演会のフライヤー(PDF)をダウンロード

 

ベルギーの橋梁デザイナー、ローラン・ネイ氏(Laurent Ney)の講演会を下記の
とおり開催します。ネイ氏は「ちから」と「かたち」を同時にデザインすることで
斬新な作品を生み出している気鋭の橋梁デザイナーです。その活動は橋梁だけにと
どまらず、今や建築の分野でも多くの作品を生み出しています。ぜひ奮ってご参加
ください。

              ― 記 ―
テーマ:『Shaping Forces』

趣旨:すべてのものには「かたち」があり、すべての「かたち」には意味がありま
 す。また、「かたち」には成り立たせるための仕組みがあります。美しいかたち
 は美しい曲線・幾何学を持ち、自然な力の流れを創りだします。かたちと力、か
 たちと幾何学、これらは密接に係わり合いひとつのオブジェクトを生み出します。
 「かたち」が創り出す力の流れを探し、同時に美しいものをピックアップしてい
 くというアプローチによって、Ney & Partners の作品はできています。場所性、
 機能性、構造合理性、施工性など様々な条件の最適解である「かたち」は、ロー
 ラン・ネイの思考の結晶なのです。「Shaping Forces」と題した本講演では、最
 新プロジェクトを通して、構造力学をツールに生み出される彼の「かたち」に対
 する思考に触れて頂きます。

日時:12月1日(木)、14:00~17:00
会場:大学コンソーシアム大阪 ルームD・E
プログラム:
  14:00-14:10  趣旨説明(久保田善明、京都大学)
  14:10-15:40  講演(ローラン・ネイ、Ney & Partners)
          「Shaping Forces」
  16:00-16:30  話題提供(渡邉竜一、Ney & Partners)
          「構造デザインにおける新しい設計プロセス-欧州でのコン
           ペ事例を通して-」
  16:30-17:00  オープンディスカッション

講演会のフライヤー(PDF)をダウンロード

懇親会:講演会終了後、懇親会の開催を予定しております。
  http://www.herbis.jp/plazafloor/shop/b2f/b2f_flanders.php
  場所は変更になる可能性がありますので、詳細は講演会会場にてご確認ください。

参加費:
  講演会:無料
  懇親会:当日集めさせていただきます。

申込み:
  参加を希望される方は、以下の内容を下記の問い合わせ先まで電子メールにて
  申し込み願います。
     講演会に参加(する/しない)
     懇親会に参加(する/しない)

その他:本行事は、土木学会認定CPDプログラムです。

お問い合わせ:久保田善明(京都大学大学院工学研究科 景観設計学研究室)
  e-mail:kubota.yoshiaki.8w[atmark]kyoto-u.ac.jp
  ([atmark]を@に書き換えてご連絡ください)