研究室NEWS

10月25日 恵那市三郷町椋実第2回WS(ワークショップ)

岐阜県恵那市三郷町椋実地区において10月25日(土)に恵那市景観まちづくりWS(ワークショップ)が行われ、学生3名(水牧、牧田、諏訪)と山口助教がファシリテーターとして参加しました。椋実地区は、庄内川の源流域に位置する中山間地で、里山や田畑、川といった美しい里風景が残されている場所です。

三郷町まちづくり委員会:http://misatohp.webnode.jp/

 

7 観音堂眺め

観音堂からの椋実集落の眺め

4 小川

椋実川

 

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ボタの草刈り

 

恵那市では、景観計画の検討にあたり、単に見た目の印象を整えるための計画だけでなく、山や農地、里といった自然と人のつながり、そこでの人々の暮らしが見える風景を重要視して、各地域ごとに具体的な内容を検討しています。

そのために、地域の景観を構成している生活・生業・信仰等を含めた要素を洗い出し、将来につなぐべきもの・創造していくべきものは何か、地域の将来像・実現の方策を、住民の方々といっしょに議論する場として、景観まちづくりWSを開催しました。WSは恵那市と3大学(早稲田大学、日本大学、京都大学)、プランニング・ネットワークが共同で開催しており、今年度は三郷町・武並町において行っています。

WSは全4回を予定しており、今回は地域の資源は何かを住民の方々と議論しました。

まず初めに山口助教から、WSの趣旨説明をしたのちに、バーチャルまち歩きと称して、学生たちが撮った写真をもとにスライド上で仮想的にまち歩きを行いました。住民の方々にとっては、普段見慣れている風景だったと思いますが、改めて見直してみると様々な意見が出て、自分たちのまちを見直すきっかけとなったと思います。

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WSの様子。初めに山口助教から趣旨説明。

 

その後、2グループに分かれて、残したい資源の整理と利用の仕方、管理の方法、将来の展望など意見を出し合いました。

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グループワークでの議論の様子

 

グループワークを終えてから、議論した内容を発表しあい、地区全体での資源を洗い出しました。椋実地区において、将来に残したいものはなにかを見いだせてきたような実感がありました。

グループワークの成果を発表

グループワークの成果を発表

 

最後に住民の方々に、椋実の将来像とWSの感想を語っていただきました。

椋実の将来像を語っていただく

椋実の将来像を語っていただく

 

アットホームな雰囲気の中、議論も白熱し、非常に有意義なWSとなりました。

 

今回、WSの会場となった「あんじゃないの家」は、地域の方々とボランティアの人たちが共同で古民家を改修した場所で、味わいがありながらすごくきれいに整備されています。学生3人は前日に泊めさせていただきました。

 

あんじゃないの家(あんじゃないの意味は案ずることはない)

あんじゃないの家(あんじゃないの意味は案ずることはない)

 

 

美しい里の風景は、それを維持する人がいてこそ生まれるのだということ、そして、少子高齢化によってその風景を維持していく人がいなくなってしまうという危機が近づいているのだということを、今回のWSを通じてひしひしと感じました。

椋実に限らずこうした厳しい現実は日本全国で起きていると思います。廃村になる地域も出ていると聞きます。

美しい里を後世につないでいく一助となるため、これから頑張っていきたいと思います。

今後のWSでは、椋実の資源を守っていくためのアクションプランを議論する予定です。

 

 

(水牧 達志)

8月13日 2014伊庭絵日記

今年もこのシーズンがやってきました。そうです、絵日記です。

8月13日、滋賀県東近江市伊庭町で行われた、まちのお祭り「絵日記」に、M2の八尾、OBの高橋さん、そして山口助教が参加してきました。

伊庭町では現在、水郷集落の重要文化的景観選定を目指し、さまざまな活動・調査が行われています。私たちの研究室からも、これまでのOB・OGを含めメンバーの多くが活動・調査に携わってきました。

昨年度の絵日記では、伊庭町の若者世代が中心の「絵日記実行委員会」と協働で、伊庭の水路を利用した「川床カフェ」と、田舟イベントを企画しました。今年はなんと、絵日記実行委員会の方々が100%オリジナルで川床を運営してくださるということになり、「ぜひ遊びに来てください!」と、私たちは招待されることになったのです。

9日に開催されるはずが、台風の影響もあり延期となってしまい、天気が心配でした。しかし、13日はちゃんと晴れてくれました。

 

伊庭の人々お手製の川床

絵日記実行委員会のお手製の川床

川床の奥には田舟が見えます

川床の奥には田舟が見えます

 

雨の影響もあり水位がかなりあったのですが、そのおかげで水にかなり近い場所でくつろぐことができ、真夏の暑さも吹き飛ぶものでした。

18時30分、実行委員会委員長の田辺さんの合図により、絵日記が始まりました。年配の方から地元の子どもたちまで、たくさんの人で賑わいました。

 

なにかのショーが始まりました

なにかのショーが始まりました

人々で賑わう謹節館前広場

人々で賑わう謹節館前広場

子どもたちお手製の提灯が輝きます

子どもたちお手製の提灯が輝きます

 

日が暮れ、祭りが盛り上がると同時に、川床も大盛況。ビールを片手に人々が集まり、語らっていました。私たちもその輪に紛れ、伊庭の方々からたくさんのお話をうかがいました。

「去年はこの川床で飲み過ぎてしまった」と、昨年の川床イベントを思い出される方もいれば、「今年もこうやって川床に人が集まってうれしい」と、実行委員会主導の企画を喜んでいらっしゃる方もいました。このように、水路をより近く感じられる川床イベントが「年に1度のお楽しみ」となってきていたので、これからも水路を中心としたまちの風景が大切にされることでしょう。

早くも、22回目を迎える来年の絵日記が楽しみです。ちょっと気が早いですかね。

 

大盛況の川床でした

夜の川床は大盛況でした

伊庭川床2014_2
 

(八尾修司)

7月7日 合同勉強会@伊庭

初めまして、人気ブロガーことM1スワです。
 
7月7日に東近江市埋蔵文化財センターにて、伊庭の文化的景観の調査委員として調査をされている山口先生と
深町先生(京大農学部環境デザイン研)を中心に、有志の学生をまじえた合同勉強会が開かれました。
この会には教育委員会事務局文化財課の嶋田さまにも参加していただき、
「伊庭の文化的景観の価値評価と保全再生の道筋について」をテーマに討論しました。
 
まずは山口先生の発表「伊庭の文化的景観の価値について」
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まず文化的景観という制度的に守ろうとする価値について中国の麗江古城や、高島市の針江や海津を
例に説明されました。
そして「文化的景観の価値とは何か」「伊庭における風景の保存再生のあり方とは何か」
という問題意識につながります。
原風景の再生なのか、誰によってのものなのか、その意義は何なのか、どうすれば可能なのか
という問題提起から討論がスタートしました。

 
 
次にM2中条さんの発表「住民参画促進計画」(昨年の公共政策コンペの内容)
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①生活利用の伴わない文化的景観
②まちづくりへの住民参加の偏り
という2つの課題を設定してセミパブリックライフをテーマに場所や参加のデザインを提案しました。
これは文化的景観の構成要素である「生業」について、住民がどのように水路を利用できるか
学生の視点から考えたものでした。
 

学生たちが「伊庭に来て感じていること」を話しあったり、
先生方や嶋田さんの意見を交えたりしながら討論が進みました。
山口先生の「いろんな種をどうするか、それが文化的景観の醍醐味」という言葉や
深町先生の「変わってはいけないものを押さえて、柔軟な動きができるように制度を使う」
といった言葉がとても印象的でした。
針江との比較や、モロコといった生態系・水路を介した生活から伊庭特有の文化・土壌を読み、
どのように制度・仕組みづくりにくみこんでいくかというところにまで踏み込んで議論ができました。

 
文化的景観や生態系に関する調査は今後も続いていくので、伊庭の動向に注目です。
また、このような他流試合的な勉強会は刺激になる部分が多いので、これから盛り上げていきましょう。
 
(諏訪淑也)