11/19~22 亀岡市における流域治水時代のまちづくり国際学生ワークショップ
修士2年の中村です。今回は、11月19日から22日にかけて、亀岡市における、流域治水の考え方を取り入れたまちづくりを考える国際学生ワークショップ「水とみどりと暮らす亀岡」について、報告します。
「川と共に暮らすー亀岡2070」にもあるように、亀岡市では、将来の気候変動に対応したまちづくりに、流域治水の考え方を取り入れようとしており、令和5年5月には、「亀岡市流域空間デザイン検討会議」による「水とみどりと暮らす~亀岡市における流域治水時代のまちづくりに向けた提言~」が発表されました。今回のワークショップでは、その検討の一部として、大学生による市民へのヒアリングや現地視察を踏まえながら、亀岡市の流域治水時代のまちづくりの方向性を議論し、発表しました。
「国際学生ワークショップ」ということもあり、京都大学・千葉大学・立命館大学・筑波大学の学生だけでなく、オランダのデルフト工科大学の学生も含め、31名での開催となりました。
京都大学からは、山口准教授と、ワークショップ参加者として学生8名、上坂(M1)、潰瀧(M1)、ベン(M1)、中尾(B4)、オーガイア(B4)、小出(B4)、佐伯(B4)、ソン(B4)、サポーターとして、中村(M2)が参加しました。
ワークショップは亀岡にて流域や対象地によって8つのグループに分けて行われ、1・2日目は現地視察、3・4日は主に議論を行いました。
以下は各日程の概要と参加者の感想になります。
【WS1日目】曽我谷川や七谷川、河原林町集落を中心に現地見学・ヒアリングを行いました。市の職員の方や、施設の方に各所を説明して頂きながらの現地見学であったため、その土地に関する詳細な情報を得ることができました。
【WS2日目】山林やため池、亀岡城跡を中心として現地見学・ヒアリングを行いました。森林組合の方や、その地区の山林を活用した事業を営まれている方、平和池での水害被害を語り継がれている方など、多くの方にヒアリングさせていただきながら現地を直接見ることができました。亀岡という土地がどのような歴史を歩み、どのような可能性があるのかを生の声で聞くことができる貴重な機会となりました。
【WS3日目】本格的にグループワークが始まり、午後には中間発表を行いました。グループワークは8つのMissionごとに別れ、模造紙などの紙媒体を活用しながら行われました。それぞれ、Mission1「京都・亀岡保津川公園エリア」、Mission2「平和池跡地エリア」、Mission3「亀岡駅南口-南郷公園エリア」、Mission4「安町大池エリア」、Mission5「河原林町-保津町エリア」、Mission6「愛宕谷川山林エリア」、Mission7「七谷川流域」、Mission8「曽我谷川流域」を対象地として、各班で議論し将来に向けた、よりよい場所を考案する時間となりました。中間発表には、ワークショップに参加されている先生方だけでなく、地域の方や市の職員の方、地元大学の先生も参加され活発な意見交換が行われました。
【WS4日目】最終日ではワークショップの最終発表を行いました。最終発表では、サンガスタジアムのA会議室にて、市長や市の職員の方、地元住民、地元企業の経営者など、様々な方に参加して頂きながら、各班が模造紙でまとめた意見に関して、多くの意見交換がなされました。中には、かなりポジティブな意見も出ており、参加した学生にとっても良い刺激になったと思います。
最終発表後は懇親会もあり、4日間の労をねぎらいながら、他校の学生や先生方と親睦を深めました。また、各賞の発表もありました。受賞した皆さんおめでとうございます!
本ワークショップのWEBページもぜひご覧ください。
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参加者の感想〈以下原文ママ〉
オーガイア(B4)
今回のワークショップは、亀岡について深く学ぶ貴重な機会となりました。1-2日目の現地調査では、地域の方々それぞれの目線での詳しいお話を伺い、亀岡の豊かな水と緑、そして亀岡市における種々の取り組みについて知ることができました。3-4日目のグループワークでは、様々な大学の学生との交流を通じて、新たな視点やアプローチに触れることができました。私たちのグループでは、特に治水のソフト面に焦点を当てましたが、地域内の主体の関係の複雑さや、考慮すべき要素が多岐にわたることに気付かされました。しかし、これらの課題を克服し、最終的な計画案を完成させた際の達成感は格別でした。今回のワークショップで得た知見や出会い、経験を今後の活動に活かしていきたいと思います。
佐伯(B4)
今回のWSでは,期間が短いということもあり,プレリサーチ段階から参加させていただきました.現地調査なども含め,亀岡がどういう場所性を持っているのかなどを十分に把握した上で参加したものの,遊水地・調整池の理解不足,専攻分野の異なる学生との意見・アイデアのすり合わせなどで苦戦することも多々ありました.その一方で,流域治水の基礎も含め様々なことを勉強でき,今後の研究の礎となる考え方を身につける非常にいい機会となりました.今回の貴重な経験を今後に活かしていきたいと思います.
小出(B4)
今回、亀岡のWSに参加し、初めての場所で、初めて会う他大学の学生と触れ合うことで、これまで経験することのできなかった体験をすることができた。事前学習を通して、亀岡の文化と流域治水に対する考え方を身につけることができた。また、WSを通して、異なる背景を持つ人々とどのように議論を進めていけばよいかを身につけることができた。この経験を今後の研究に活かしていければと思う。
ソウ(B4)
亀岡WS期間中、千葉大、筑波大、立命館大及びデルフト工科大の学生らとランドスケープ、治水対策などの観点から亀岡が目指すべき未来の姿について意見を交換することができました。図面上だけでは読み取りにくい地区の現況を、現地踏査で体験するのはとても良い経験となりました。このWSを通じて身につけた空間設計における新たな着眼点と考え方を、今後の活動にも活用したいと思います。
中尾(B4)
WS期間は,デルフト工科大含め他大学の学生との円滑なコミュケーションをとる難しさを痛感させられる日々でした.その上で,提案を魅力的に見せるパースや簡潔明瞭でいて実用的なランドスケープ的アイデアなど,自身の強みを活かして次々と提案してくれた班員を誇らしく思います.班員と議論を交わしていく中で,建築と土木,日本とオランダでのランドスケープ,それぞれの専門ゆえに異なる価値観が衝突することもありましたが,先生方にも貴重なアドバイスをいただき,テーマに向かって互いに尊重して意見をすり合わせて一つの作品に仕上げていく過程は,振り返ってみてとても充実していたと感じています.
最後になりましたが、今回このような機会を与えてくださった、山口先生を初めとするワークショップ運営チームならびに、ヒアリングにご協力いただいた、地元の方や、市の職員の方々、ありがとうございました。この経験を今後の研究や様々な活動に活かしていきたいと思います。お疲れ様でした。