9月20日 U30_都市設計提案競技 『道後温泉 移動風景の再生と展開』
風景づくり夏の学校2014
U30_都市計画-都市設計提案競技 『道後温泉 移動風景の再生と展開』
京都大学ULDLチームとして応募し、二日間にわたって行われた最終審査・プレゼンのため、現地道後へ行ってきましたので報告します.
参加者 : M2 牧田・大川 M1 篠崎・諏訪・一宮・水牧 B4 水野(つ)・水野(ゆ)・三輪
目標としていた最優秀賞は逃しましたが、各審査員がそれぞれ選定する賞を二つ(藤田賞・窪田賞)頂くことができました.
【コンペ趣旨】
愛媛県松山市に位置する道後温泉は、外湯文化の再生に取り込んでいる日本最古の温泉地ですが、
地域には道後温泉本館をはじめとする多くの老朽化した木造建築群を抱えると共に、過去の南海地震では源泉が数か月間止まるなど、
中長期的な地域リスクを抱えている地域です。
また、一遍上人の寶厳寺が昨年焼け果て、温泉本館の耐震工事にも7年-10年を要することから観光客の足が遠のくことも予想されています。
今回の都市計画-設計提案競技では、火災や地震といった道後温泉を取り巻く災害リスクや、地域構造の変化を理解したうえで、
お遍路さんをはじめ多くの旅人を癒しもてなしてきた外湯文化を育んできた街路や広場といった道後に固有の空間構造にもう一度目を向けることで、
道後地区を中心とした移動風景を再生させていくための地域デザインの提案を募集します。 (公式HPより)
【京大チーム提案概要】 Panel
◇ 道後温泉本館の魅力を担う空間・精神を読み解き、改修を機にそれを街全体へ波及させることで一極集中型からの転換を図る.
◇ 建築資材や湯・土地に関して、二次・三次的な利活用によりまちの中を循環させる.
◇ 民間主体の中間組織が連帯しながら上記のまちづくりを進めることで、行政に頼らない自治組織の復活を目指す.
【一日目】
翌日の審査会に先だち、レクチャーを二つ.
東大の藤田香織先生「木造建築の風景」、同じく東大の窪田亜矢先生「地域デザインの展開」
建築工学的でハードな視点と、地域づくり的なソフトな視点から、将来の日本の風景について考えさせられるようなお話を頂きました.
その後、商店街の入り口に立って市民向けにパネル発表.
具体的な人の活動風景についてツッコミを頂くなど、市民の方とのリアルなコミュニケーションをとれたのは、
個人的にも新鮮な経験となりました.
なおこの時、京都から宅急便で送っていた模型が大破するという非常事態のため、
模型組は宿に籠って必死に修復にあたっていました.
最初壊れているのに気づいた時は、もうひやひやでした.
【二日目】
朝までプレゼンのスライド作成に追われてしまい、満足に練習もできないまま会場へ向かいます.
午前中は、内藤廣先生の講演の後、パネルと模型を展示しながら審査員や一般市民に向けてプレゼンテーションを行いました.
昼食後、いよいよ講評会が始まります.
僕たちの出番は6チーム中3番目.
リポDの力を借りながら、直前まで制限時間内に収まるよう練習していました. (結局、原稿を読み上げるプレゼンになってしまったのが心残り…)
発表後の質疑では、
・循環させる資材として本館からはあまり出そうにない. それよりも点在する空き家を考慮しないのか.
・冠山にある駐車場の機能は開発後どう担保するのか.
などをいただきましたが、一つ目の質問に的確に答えられず、退場してからとても後悔しました.
発表後の講評では、資源の循環とその運営主体を核としたまちづくり手法の可能性について評価を頂いた部分と、
大まかな解釈では提案の深みについてもの足りなさを感じられていた部分とをご指摘いただきました.
建築家や都市計画家の審査員の方からは直接コメントを頂けませんでしたが、
他の提案に対する言葉を聞く限り、空間的な考察と表現が弱かったことで、”おもしろさ”を感じてもらえなかったのかと思いました.
また解散後、審査委員長で今回のコンペの仕掛け役である羽藤先生から、
川崎研究室”らしい”歴史の読み解きがあまり見られなかった(という旨の)お話がありました.
以上のご指摘と、自分たちがコンペを通じて感じた反省点を踏まえ、
近日中に振り返る機会を設けようと思います.
なんにせよ、実質およそ一か月を通じて精力的にコミットしてくれたチームメンバーをはじめ、
お忙しい中エスキスしていただいた山口先生には、とても感謝しています.
この場をお借りしてお礼申し上げます.
牧田裕介