6/8 土木学会賞授賞式
こんにちは。2014年度川崎研究室修了の八尾修司と申します。
現在、大日本コンサルタント(株)に就職して4年目で、都市計画やまちづくりにおけるソフト施策のほか、公園・広場等のハード設計に関わる部署で仕事をしております。
さて本題ですが、修士課程在籍時に第一著者として執筆しました、
「戦前期大阪における公園道路網計画と桃ヶ池・田邊公園道路の形成」
土木学会論文集D1(景観・デザイン)、Vol.71, No.1, pp.95-107, 2015.
により、『平成29年度土木学会論文奨励賞』を受賞致しました!
私が卒業研究に着手した時から取り組んだテーマであり、この期間も含めると、約6年の時を経て受賞に至ったことになります。
授賞理由は、下記のとおりです。
戦前期大阪における都市計画公園緑地計画は、公園緑地を系統的に配置し公園道路で連絡する欧米由来の計画思想を日本で最初期に導入し、かつ社寺の風致を組み入れ固有に発展させた先駆的な計画であった。本論文は、当時の行政文書や新聞記事及び設計図面等の新史料の発見と、その緻密な分析により、計画理念と整備過程、実現に関わる主体の役割をはじめて明らかにした。
本論文の成果は、現代の都市緑化や緑のネットワークの考え方の基盤的根拠を先駆けて解明した点、また、整備実現における周辺地主の自主的な働きかけの事実が認められた点において、今後の都市計画に対して大きな示唆を与えている。以上から、論文奨励賞に相応しいと認められた。
(平成29年度 名誉会員及び土木学会賞等 紹介冊子より抜粋)
学生時代、まさかこのような栄誉ある賞を頂くことになるとは思ってもみませんでした。ですが、査読論文として成果を取りまとめるまで、さまざまな苦労をしたことを顧みると、「論文奨励賞」という最高の形で結実したということに、喜びを噛みしめずにはいられません。
景観・デザインの分野としても、山口敬太准教授が授賞して以来の7年ぶりの授賞ということで、重くのしかかる責務もありますが、土木の景観・デザイン分野の発展に少しでも寄与出来るよう、今後も精進して参りたいと思います。
以下、2018年6月8日に行われた、土木学会定時総会での授賞式の様子を少し。
弦楽器演奏によるオープニングの後、鈴木史朗氏による毎年恒例のメイン司会のもと、授賞式が始まりました。個人的には、某TV番組でお見かけして以来、初めて生のご本人を拝見することができました。
大画面による大々的な紹介に圧倒されるばかりでしたが、論文賞、論文奨励賞の紹介のほか、長崎市・出島で進められた「出島表門橋架橋プロジェクト」や、宮城県・気仙沼市での「気仙沼大島大橋」を代表とした田中賞など、土木分野の発展に貢献したさまざまな研究、技術開発に関する取り組みを目の当たりにしました。
総会終了後、出席者による交流会が行われ、そこで偶然、早稲田大学・佐々木葉教授とご一緒することができました。この他、「もしかすると八尾さんの研究のヒントになるかもしれない」と言ってわざわざお話に来て下さった方もいらっしゃり、今後の展開の可能性を予感させるものもあって非常に有意義な時間を過ごすことができました。
さて。
最後になりましたが、学生時代から社会人になってからも、熱くご指導ご鞭撻頂きました川﨑雅史教授、山口敬太准教授、そして研究室ゼミ等でさまざまなご指摘を頂きました久保田善明・現富山大学教授には、この場を借りて厚く御礼申し上げます。先生方のご指導がなければ、このような栄誉ある授賞に至ることはありませんでした。
また、若造をあたたかく迎え入れ、貴重な資料を提供下さった繁村誠人氏(NPO国際造園研究センター理事)、伊藤廣之氏(大阪歴史博物館副館長)ほか、関係諸氏の皆様には感謝してもしきれません。皆様に提供頂いた資料や情報がきっかけで、研究が大きく前進いたしました。
今回の受賞を機に、実務・研究の両面で、土木工学や都市計画分野の発展に貢献できるよう、これからも頑張っていきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
(八尾修司・川﨑研究室OB)