5/12 IABSE Young Engineer Workshop Elegance in Structures –the footbridge
5/12(火)に,奈良県にて歩道橋設計提案の国際アイデアコンペに参加しましたので,報告します.
参加者 M2:篠崎 M1:水野裕介,三輪 OB:畠中
【workshop概要】
IABSE (International Association for Bridge and Structural Engineering; 国際構造工学会)は毎年春と秋に開催されています.今回は開催地が奈良であり,テーマが Elegance in Structuresでした.
コンペは,学会が開催するYoung Engineer Workshopという形で行われました.コンペの要旨は,奈良市立三笠中学校の前を流れる佐保川に架かる歩道橋という対象地に,新たに歩道橋の提案をする,というものです.
設計条件は,スパン26m,活荷重3.5kN/m2,河川の中に橋脚は設けないことです.Outputとしては,橋のGeneral Drawingのみではなく,Detail, Construction Plan, 構造の詳細な説明が求められました.
国内外の35歳以下の若者21チームが参加しました.審査員は,Mike Schlaich, Ian Firth, 川口衞,春日昭夫という世界で活躍されている方々です.
【提案】
対象地に相応しいeleganceな橋として,桜並木と小川の風景を邪魔しない透過性の高い橋を考え,構造のヒントは,日本の寺社仏閣の肘木から得ました.そして,片持ち梁と吊床版とトラス構造を組み合わせた橋を提案しました.
【wrokshop当日】
初めに,審査委員4名による基調講演がありました.
その後,各チームの発表が始まりました.発表5分,質疑応答3分,言語は英語です.自分達のプレゼン自体は,今までの練習よりも上手くでき,他のチームに負けていない手応えがありました(しゃべったのは篠崎さん).
質疑応答では,Schlaich先生から,木材同士の接合部が,私たち提案した設計では耐えられないことを指摘され,残念ながら入賞は出来ませんでした
Afer Partyでは,4名の審査委員の方々には木の接合に関するご指摘と,発想自体は面白いというご意見を頂き,他の参加者の方々には京大が受賞すると思ったという評価も頂けました.
基調講演でも話しておられたことですが,如何に細部が重要かということが身に染みたご指摘でした.構造物にとって最も危険なのは接続部であるからこそ今回ご指摘されたのだと思います.
【コンペ全体を振り返って】
今回のコンペは,橋の設計の一連の流れ,その一つ一つの作業を実際に自分達で行う初めての機会でした.かたちを考え,構造計算をして,その結果をまたかたちに反映する,それを繰り返すことで段々と橋の構造が決まっていく,それを実感することが出来たのは非常に良い経験となりました.
個人的には他にも力不足な部分がいくつもありますが,チームの課題としては以下の2つが挙げられると思います.
・構造に関して特に細部が重要であるが細部まで明確にできなかったこと(←力の流れに対する理解が不足している,細部の検討をするための知識・方法が不十分)
・高欄など床版より上の部分の造形を詰めきれなかった事
周囲の環境を読み取ってそれを橋のデザイに活かす,そこで新しいアイデアを持ってくるという点では他のチームに負けていなかった,そこを他の参加者に評価して頂いたと思うので,そういった“川﨑研らしさ”は今後も引き継いでいきます.
構造の分野でのコンペということで,審査に関しても学んだ事は多くありますし,「もの」,特に公共物をつくる人間がどうあるべきかについても考えを深める良い機会になったコンペでした.
【最後に】
1ヶ月以上にわたりチームを引っ張って頂いた篠崎さん,同じM1として切磋琢磨し共に成長できた水野君,東京の地から案を見て頂いて適宜アドバイスをして頂いた畠中さん,そして,お忙しい中何度も時間を割いて一緒に考えて頂き,私たちが勉強不足の部分を教えて頂いた久保田先生には,とても感謝しております.
ありがとうございました.
三輪潤平