12月9日、2010 東京建築見学(KAIT工房)、早稲田大学景観・デザイン研究室訪問
12月10日~13日に東京大学にて行われる「景観・デザイン研究発表会」に参加するため、前日に修士1年の村上さんと東京入りをして、神奈川工科大学にある建築家・石上純也氏設計の「KAIT工房」を見学しました。
建物内部全体の白と、配置された植物の色合いがなんともいえない雰囲気 です。配布資料としていただいたKAIT工房の概要には、「森の中のものづくり」というコンセプトとして設計されたと書いてあります。ガラスの側壁とトッ プライトで開放感を感じさせると同時に、巧みに配置された305本の薄い柱で水平天井を支えつつも、柱によって最低限のプライバシーを確保しています。 305本の柱のうち、中には触ると揺れる柱もあり大変驚きましたが、それは意図的であって、43本の垂直荷重用支柱と263本の耐震用吊り柱と機能が異な り、間仕切りのない構造が実現しているそうです。薄い支柱は常時引っ張り状態となっており、座屈しない設計になっています。
石上純也さんは「自然」や「気象」といったものテーマに設計を考え、また、「風景というものを空間として捉えて、それを建築にすることができないか。単純に広がる風景をつくってもそれは建築にはならず、そこで地平線、水平線という境界線を考える。風景をどのように空間にしていくことができるか」という、「風景」という主観的なものに対して非常に興味深い実践もやってこられた方です。石上さん本人が設計した実際の建築、特にこのKAIT工房を身をもって体験することは自分の願いでもありました。また、それらを実現させるために、非重力的な構造を感じさせない設計が行われ、形態には建築を「自由」にしようとする意思が感じられます。それは「サヴォア邸」のように、スマートな柱によって形態が「浮遊している」というビジョンをつくりだすような、モダニズム建築の延長のようにも感じられる一方で、そうではなく、一つの価値観で捉えることの出来ない現代を敏感に感じ取り、やはり”個人”が建築に表現しているのだろうな、という印象を受けました。設計に対する構造的なイマジネーションは、橋梁研究をしている学生にとっても非常に勉強になることだと思います。
その後、学生デザインワークショップ「九州デザインシャレット2010」でも交流のあった修士1年の岡田祐司さんに案内していただいて、岡田さんも配属されている早稲田大学の景観・デザイン研究室に少しばかりお邪魔させていただきました。発表を明日に控えた修士の方もいたり、卒業論文の中間発表を控えた学部生もいる、とても忙しい中で本当に暖かく迎えてくださいました。研究室での活動や普段の学生生活の話をしていただいたり、また、「高架橋」がテーマになった今年の景観開花コンペの作品パネルも見せていただき、貴重な時間を過ごさせていただきました。お腹がすいた頃には、みなさんで食堂で夕飯を食べて、楽しい時間を過ごしました。
さて、明日はいよいよ東京大学にて3日間、景観・デザイン研究発表会があります。学部4年生の自分は初めて参加しますので、期待と緊張が入り混じっています。
(大川)