8/9-10 三条通デザイン・ワークショップ DAY1&2

8/9(日),10(月祝)に三条通デザイン・ワークショップ(DWS)が開催されました。

全体4日間のWSのうち、DAY1&2になります(プログラムはチラシをご覧ください)。

本ワークショップは、三条通エリアマネジメント検討会議が事務局を担い、京の三条まちづくり協議会と共催、NPO法人京都景観フォーラムと協力して企画・運営を行っているものです(主催は三条通デザインワークショップ実行委員会、京都市が後援)。

本ワークショップの事務局を務めている谷川(景観設計学研究室D2)からDAY1-2の報告をいたします。

自由公募の結果、学生15名(京都大学7名、同志社女子大学4名、立命館大学2名、京都工芸繊維大学1名、早稲田大学1名)、U30社会人2名(中央復建コンサルタンツ株式会社1名、株式会社日建設計シビル1名)の参加となりました。事情により2名がオンライン参加となりました。

以下、プログラム順に経過の報告をいたします。

   

DAY1

山口先生からのオープニング宣言では、これまでの三条通での取組の延長として、U30メンバー・まちづくり協議会・景観エリアマネージャーをはじめ、DWS参加者全員のコラボレーションで三条通の将来像をつくりあげる、という今回のワークショップの趣旨が伝えられました。

京の三条まちづくり協議会 森本浩行会長からは、
「世界の範となる京都のシンボルストリート」を目指す、
と宣言いただき、三条通DWSのスタートが切られました。

   

次に、京の三条まちづくり協議会/GK京都 清水響さんから「京の三条まちづくり協議会の取組」と題して、三条通の歴史、京の三条まちづくり協議会の活動、三条通のコンセプトについて、お話をいただきました。「品格ある三条通を守り育てるための 6 つの心得」のご説明をいただき、重要な方向性が共有されました。

  

  

そこから、4チームに分かれ、まち歩きに出ます。京都景観エリアマネージャーの方々のご案内で、近代建築の魅力、これまでの景観協議等の取り組みの工夫、商業の状況、道の状況などを教えていただきながら歩きました。

まちあるきの様子

  

午後はひと・まち交流館に移動し、日本大学助教/一般社団法人ソトノバ共同代表理事・編集長 泉山塁威先生から、
「豊かな日常的な街路のためのアイデアとヒント」と題して、公共空間の活用の可能性についてレクチャーをいただきました。
メルボルンやサンフランシスコなどの事例から道路の性格に合わせたデザインの方法、まずやってみるDoerの存在、場を通じて人がつながる「プレイスキャピタル」の考え方、など豊かな場や関係性をつくるためのヒントが詰まったレクチャーでした。
プレイスから都市を考え、ヴィジョンから現在のアクションを戦略的に計画し、人の滞留を生み出すことがこの三条通DWSで求められるミッションであると改めて感じました。ディスカッションでは、山口先生と泉山先生をはじめ、会場やオンラインからも質問が飛び交い、活発な議論が行われました。

 

ワークショップが始まります。自己紹介と、事前に提出していただいていたアイデアシート、空間利用イメージ写真(街路以外に限る)をもとに、こんなことが三条通にしたいという想いを語っていただきました。チームには、三条通沿道住民の方や勤務の方にも参加していただき、自己紹介いただいたところで、一日目は終了となりました。
DAY3担当講師の岩瀬諒子先生にも終日ご参加いただきました!

 

   

DAY2

2日目は、山口先生のレクチャーからはじまります。「祝祭空間化する都市の公共空間」と題して、日本の道路空間再編事例の動き、海外の歩車共存道路整備に起きた「変革」の実態(デザインやその効果、空間像形成プロセス)、京の道と広場の歴史、についてご紹介いただきました。歩車の共存において、デザインの方法、アクティビティの多様性、プロセスデザインの方法、など論点がたくさんあり、どのような切り口で三条通をデザインするか、想像力が膨らむ刺激的なレクチャーでした。また、デザインの方法(プロセス)についてのレクチャーがあり、三条通りの「品格」を保ちながら、ハードとソフトの切り口をどう考えるか、非常に難しい課題が与えられたなと感じました。

  

その後、歩くまち京都の推進に、コンサルタントとして長年関わっておられる、中央復建コンサルタンツ株式会社の中矢さんから「歩くまち京都の過去と未来−京都都心部の交通と歩行環境」と題して、京都都心部の交通環境、京都市の交通まちづくり、三条通の歴史とまちづくりについてご発表いただきました。三条通の交通環境の分析の方法や交通施策について理解が深まり、大胆なアイデアに現実性を持たせるための考え方が示されました。

   

さていよいよ、グループワークです。まずは、可能性を探るためのブレインストーミングのため、A0の地図に可能性を自由にたくさん描くワークと、各班による発表が行われました。その後、地域資源の文脈を掘り下げる全体討議として、質問を受けた三条まちづくり協議会メンバーがそれぞれ、三条の魅力、生活の記憶、祇園祭の鷹山の復興の経過、みちづくりにかける想いなど、地域のみなさまの想いを共有しました。
最後は、みちづくりのテーマ、コンセプトを探るグループワークです。班ごとにディスカッションを行った後、コンセプトの発表を行いました。

  

講評の後のディスカッションでは、チームの提案をもとに、講師陣から4つのテーマが提示され、グループごとにどのテーマを選ぶかのディスカッションを再度行い、チームごとのメイン・テーマが決まりした。

Aチームはプログラム(時空間・プログラム)、Bチームはつながり(コミュニティ・商業飲食連携)、Cチームはシームレス(歩道・沿道空間)、Dチームは造形(ファニチャー・照明・緑)とぴったり一度で決定しました!
グループワークや講評では、白水靖郎氏(中央復建)、立命館大学の阿部俊彦先生からも非常にご示唆のあるコメントをいただきました。

最後にDAY3までの課題が示されました。このチームで案のブラッシュアップが行われます。次回以降に期待大です!

最後は、記念撮影を行いました。今回は、新型コロナウイルスの影響で、懇親会・交流会などが行うことができず残念でしたが、このWSをきっかけに交流が深まり、全体で一つの大きなヴィジョンが生まれると信じています!

まずは無事に三条デザイン・ワークショップのスタートを切ることができました。多大なる協力をいただいた、三条通プロジェクトメンバーの皆様、参加者の皆様、ありがとうございました。

谷川陸(三条通DWS事務局、景観設計学分野D2)

2/3 令和元年度卒論発表会

久々の山口です。お世辞じゃなく、今年の卒論は力作揃いでした! 

今年の4年生は(も?)よくやったと思います。

公共空間における舗装のデザインに関する基礎的研究(関)
公共空間再編における設計競技方式の運用に関する国際比較研究(田中宣)
旧淀川大川における水辺空間の変遷と河岸公園の形成(萩原)
The impact of environmental policies and mobility strategies on car-free projects: case studies of 6 capital cities(LIANG)

前例のない研究は、どうやってまとめればよいのか、見本(先輩の研究)がなく正解(らしいもの)がありません。レビューからしてイチからです。

本当に研究になるのか。どうすれば論文になるのか。(本人が一番w)分かりません。手探りで悩みながらも、自分で考えて、論文を組み立てなければなりません。そんな芸当ができるのは普通は年に1〜2人ですが、(無茶ぶりに耐えて)今年は全員が難しい課題に対して、自分で考えて組み立てて、自分で論文を仕上げました。

しかも読んで面白い。なかなかのものです。(先輩の助言、支援も大きかったとは思いますが)

自分の頭で論文を築き上げた、この経験は、これからのみんなのかけがえのない財産になると思います!

ただし!論文は対外的に公表して初めて生きたものになりますので、修正意見を反映させた論文本提出のあと、学会等の発表論文を完成させる必要があります。がんばれ! (山口)

12/7.8 第15回景観・デザイン研究発表会

M1の新井です。

12月7,8日に日本大学理工学部駿河台キャンパス タワー・スコラ(東京都)にて第15回景観・デザイン研究発表会が行われました。2日合わせて63編の口頭発表と23のポスター発表が行われ、多岐にわたる分野の充実した研究や議論に触れることができ、私自身にとっても貴重な時間となりました。

研究室からは社会人Dの中内さん(株式会社三菱総合研究所)、D1の谷川さん、M1の青木くん、同じくM1の新井がそれぞれ下記のような題目で口頭発表で参加させて頂きました。

中内和/川﨑雅史「景観体験・思いの意味を醸し出すデザイン・ランゲージに関する研究」

谷川陸/山口敬太/川﨑雅史「戦前期京都風致地区における大規模建造物及び公共施設の風致の維持・創出の実態」

青木章悟/山口敬太/川﨑雅史「ニューオーリンズのUrban Water Planにみる道路空間を活用した水循環計画の計画手法」

新井謙介/山口敬太/川﨑雅史「京都の景観まちづくりリーダーの原風景と活動動機の関わりに関する考察」

4名とも口頭発表の後の質疑応答では活発な議論が行われ、それぞれにとっても新たな視点の見つかる貴重な時間になったと思います。

私自身も初めての研究会での口頭発表でしたが、研究の目的や論点を簡潔にわかりやすく伝えることの難しさを改めて強く感じました。質疑応答の中でも今までされなかった角度からの質問もあり、自身の研究内容を見つめ返す貴重な機会となりました。また、修士論文に向けては今回とは異なったテーマになる予定ですが今回学んだことを今後も研究に活かしていきたいと思います。

発表に向けご指導くださった先生方、ご協力いただいた関係者の皆様、誠にありがとうございました。